クレーム対応は外注できます。ただし任せられるのは、話を聞き取り、マニュアルの範囲内で回答する「一次対応」が中心です。返金・補償の可否判断や再発防止の説明といった「二次対応」は自社に残し、代行側から引き継ぐエスカレーション設計とセットで初めて機能します(スクロール360)。

費用は、月額基本料1万〜11万円+契約件数を超えた分の超過料金(1件200〜600円)が相場の目安です(調査時点: 2026年9月。PRONIアイミツ、i-STAFF)。この記事では、外注できる範囲・できない範囲の線引き、費用の内訳、そして外注の成否を分けるエスカレーション設計の作り方を順に解説します。

クレーム対応はどこまで外注できるか?

外注できるのは一次対応が中心で、判断が絡む二次対応は自社に残すのが基本形です。クレーム対応代行が請け負う業務は、おおむね次のように整理できます(スクロール360、i-STAFF)。

クレーム対応で外注できる業務の範囲
区分内容外注の可否
一次対応話の聞き取り、事実確認、マニュアル範囲内の回答・謝罪外注の中心領域
二次対応返金・補償の可否判断、契約変更、再発防止策の説明原則自社。請け負う事業者もあるが料金が上がる
対面謝罪訪問しての謝罪一部事業者がオプション提供
悪質案件・カスハラ不当要求、脅迫が絡むケース専門事業者に限られる。警察・弁護士ルートは自社で確保

代行に任せる(一次対応)

  • 話の聞き取りと事実確認
  • マニュアル範囲内の回答・謝罪
  • 対応履歴の記録と報告

自社に残す(二次対応)

  • 返金・補償の可否判断
  • 契約変更や個別条件の調整
  • 再発防止策の説明、悪質案件の法的対応
Fig. 01 — 一次対応(代行)と二次対応(自社)の線引き

この線引きは、問い合わせ対応代行の業務範囲で解説した一次対応・二次対応の切り分けと同じ考え方です。クレームの場合は感情と補償が絡む分、「代行がその場でどこまで約束してよいか」(例: ◯円までの返金・再送は代行判断で可)を金額つきで決めておく必要があります。

クレーム対応代行の費用相場

月額基本料に超過料金を足す構成が一般的で、一次対応のみなら月額2万〜5万円前後が目安です(調査時点: 2026年9月)。

クレーム対応代行の費用相場(調査時点: 2026年9月)
項目相場の目安
月額基本料(一次対応のみ)2万〜5万円前後(サービス全体では1万〜11万円)
月額基本料(解決まで委託)8万〜10万円前後
超過料金(契約コール数を超えた分)1件200〜600円
通話録音オプション月5,000円〜1万円前後
対面謝罪の代行1回3万〜6万円前後+実費

数値はPRONIアイミツ、スクロール360、i-STAFFの公開情報をもとにしています。月額基本料は「月◯コールまで」という上限つきのプランが主流で、例えば月50コールまでで2万〜4万円、月200コールを超える規模では6万〜8万円前後と、件数に応じて段階的に上がります。

一般的なカスタマーサポート代行全体の料金水準と比べたい場合は、カスタマーサポート代行の費用相場に件数帯別の目安を整理しています。

外注を機能させる肝はエスカレーション設計

クレーム対応の外注が失敗するのは、代行の品質不足よりも「引き継ぎの設計不足」が原因になりがちです。マニュアル外の案件が発生したときに、誰に・どの手段で・どれくらいの速さで引き継がれるかが曖昧だと、対応が止まり、待たされた顧客の怒りが増す二次クレームに直結します。

切り分け基準

マニュアル外・強い怒り・悪質案件など、引き継ぐ条件を類型で定義する

引き継ぎ先

類型ごとに一次の引き継ぎ先と、不在時の代打を決める

手段と期限

チャット・電話など連絡手段と「何分以内に応答するか」を決める

折り返し約束

顧客に伝える折り返し期限を統一し、期限切れを監視する

Fig. 02 — エスカレーション設計で決める4項目

とくに期限は重要です。マニュアル外のイレギュラー案件は、代行側がいったん電話を切り、自社と相談してから折り返す流れになるため(スクロール360)、自社側の応答が遅いほど顧客を待たせます。「一次対応で聞き取った内容がそのまま引き継がれ、顧客が同じ説明を繰り返さなくて済むか」も、契約前にオペレーションを確認しておきたいポイントです。

外注のメリットと注意点

外注の主なメリットは、担当者の心理的負荷を下げて離職を防げること、熟練オペレーターの初動で二次クレームを防ぎやすいこと、繁忙期の急増に人員を柔軟に合わせられることです(スクロール360)。クレーム対応は担当者が疲弊しやすい業務のため、人手不足への対応策としても外注は現実的な選択肢になります。

一方で注意点も明確です。

  • 不満の情報が自社に入りにくくなる: 対応件数だけでなく、内容分類・原因・対応結果まで含むレポートを受け取る契約にする
  • 商品知識の限界: 複雑な製品・サービスでは、マニュアル整備に時間をかけないと対応が浅くなる
  • 品質の当たり外れ: 研修・モニタリング・対応前レビューといった品質担保の仕組みを見積もり段階で確認する。確認観点はCS代行の品質レビュー体制の作り方に詳しくまとめています
  • セキュリティ: クレーム対応は個人情報と紛争性のある情報を扱うため、プライバシーマーク・ISMS認証などの体制を確認する

テキストのクレームは「送信前レビュー」で品質を担保できる

クレーム対応代行は電話前提のサービスが多い一方、メール・問い合わせフォーム・チャットで届くクレームは、外注との相性がよいチャネルです。やり取りが記録に残り、送信前に文面をレビューできるため、電話のようにその場の応対品質に依存しません。

当社が運用するCS代行「ゼンナゲCS」は、このテキストチャネルを対象に、AIが問い合わせ内容の分類と返信ドラフトの生成を行い、専門オペレーターが必ずレビュー・承認してから送信する(human-in-the-loop)方式で一次対応を代行しています。クレーム性の問い合わせはAIが単独で返信することはなく、感情的な配慮が必要な案件やマニュアル外の案件は、事前に設計したルートでお客様側の担当者へエスカレーションします。クレームを含む問い合わせ対応の外注を検討している場合は、お問い合わせからご相談ください。

電話のクレームが多い場合も、FAQやフォームの導線を整えて問い合わせをテキストへ寄せていく打ち手があります。考え方はメールのみ対応のCS代行(ノンボイス)で解説しています。

まとめ

クレーム対応は、聞き取りとマニュアル内の回答までの一次対応を中心に外注できます。相場は月額基本料1万〜11万円+超過1件200〜600円、一次対応のみなら月額2万〜5万円前後が目安です(調査時点: 2026年9月)。外注の成否を分けるのは代行会社の選定だけでなく、一次対応と二次対応の線引きと、マニュアル外の案件を確実に引き継ぐエスカレーション設計です。まず定型的なクレームの一次対応から小さく渡し、対応履歴をレビューしながら範囲を広げていくことをおすすめします。