チャットボットが減らせるのは、回答が毎回同じで、顧客が選択肢をたどって自己解決できる問い合わせだけです。 相手の状況を確認しないと答えられない相談は、ボットを入れても有人対応として残ります。

要点は次の3つです。

  • 効くのは定型: 営業時間、送料、返品の条件など、回答が固定されているもの。
  • 残るのは非定型: 契約状況に依存する質問、判断が必要な相談、クレーム。
  • 判定は導入前にできる: 直近1か月の問い合わせを内容で分類すれば、定型が何割かは数えられます。

以下で、普及の実態、向き不向きの見分け方、減らなかったときに疑うべき点を整理します。

どのくらい使われているのか

日本コンタクトセンター協会の「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」(回答68社)によると、提供している対応チャネルの割合は次のとおりです(CCAJ、調査時点: 2026年8月)。

  • 電話: 95.6%
  • eメール: 80.9%
  • Webフォーム: 69.1%
  • 有人チャット: 55.9%
  • チャットボット: 48.5%
  • AIボイスボット: 35.3%

チャットボットは半数弱、AIボイスボットは3分の1程度です。3年間の推移で見ると、チャットボットは46.9%→40.0%→48.5%と横ばいから微増、AIボイスボットは28.1%→27.1%→35.3%で直近1年に伸びています。

一方、業務量では自動応答が増えています。同じ調査で、チャットボットやボイスボットによる自動応答の業務は「昨年度より増加した」が21社と最も多く、「自動応答による業務を行っていない」を除いた50社の42%を占めました(CCAJ)。

つまり、導入企業の数はまだ半数弱だが、導入した企業では扱う量が増えているという状態です。全社が入れるものではなく、向く事業には効いている、と読むのが素直です。

向く問い合わせ、向かない問い合わせ

判定の軸はひとつで、回答が毎回同じかどうかです。

分類ボットで減るか
回答が固定営業時間、送料、返品の条件、対応地域減る
選択肢で分岐できる

商品カテゴリ別の使い方案内、手続きの手順

減る(シナリオ次第)
個別の状況に依存

「私の注文はいつ届くか」「この契約は解約できるか」

システム連携がなければ減らない
判断が必要例外対応の可否、値引きの相談減らない
感情を伴うクレーム、謝罪が必要な場面減らない(かえって悪化することがある)

3行目の「個別の状況に依存」は、注文管理システムや契約管理システムとつなげば自動で答えられる場合があります。ただし連携の開発が必要になるため、費用は単純なシナリオ型より上がります。まず1行目・2行目だけで何件減るのかを見積もってから、連携まで踏み込むか決めるのが安全です。

導入前に数える

判定に必要なのは、直近1か月分の問い合わせの内容別件数です。手順は次のとおりです。

1. 問い合わせを内容で分類する。 最初は10〜20種類程度の粒度で十分です。メールやチャットの履歴があれば、件名や冒頭文で機械的に分けられます。

2. 件数の多い順に並べる。 上位いくつかで全体の何割を占めるかを確認します。

3. 上位の各項目を、上の表の5分類に当てはめる。 1行目・2行目に入る質問の件数を合計します。

4. その合計が全体に占める割合を出す。 これが、チャットボットで減らせる可能性のある上限です。実際にはシナリオから外れる聞き方をする人がいるため、上限より低くなります。

この割合が小さいなら、ボットより先にやることがあります。回答が定型なら、FAQページの拡充と導線改善のほうが安く早く効きます。効率化全体の着手順はコールセンターの効率化はどこから手を付けるかで扱っています。

入れたのに減らないときに疑うこと

導入後に件数が下がらない場合、原因はたいてい次のどれかです。

定型の質問がもともと少なかった。 上の手順を踏まずに導入すると起きます。この場合、ボットの改善では解決しません。非定型の対応をどう省力化するかという別の問題です。

シナリオが実際の質問と合っていない。 想定した聞き方と、顧客の実際の言い回しがずれています。ボットのログを見て、どこで離脱して有人に流れているかを確認してください。

導線がない。 ボットを設置しても、問い合わせフォームのほうが目立つ位置にあれば、顧客はそちらを使います。フォームの手前にボットを置く、FAQページから呼び出せるようにする、といった配置の問題です。

答えが載っていない。 ボットは元になるFAQの範囲しか答えられません。FAQ自体が薄ければ、ボットも薄いままです。

非定型が残ったあとの選択肢

ボットで定型を削ったあとに残るのは、人が判断する問い合わせです。ここを省力化する方法は2つあります。

ひとつは、AIに返信ドラフトを作らせて人が確認する形です。ボットのように顧客へ直接答えるのではなく、オペレーターの手元に回答案を出して、人が確認・修正して送ります。非定型でも回答の型がある問い合わせに向きます。設計上の線引きは問い合わせの自動返信にAIを使うで扱っています。

もうひとつは、対応そのものを外注する形です。回答方針を共有できる範囲であれば、非定型の対応も任せられます。判断が必要な案件だけ自社に戻す切り分けにしておくのが前提です。

ゼンナゲCSの位置づけ

当社が自社開発・自社運用しているCS運用代行「ゼンナゲCS」は、顧客に直接答えるボットではなく、AIが返信ドラフトを生成し、専門オペレーターがレビュー・承認してから送信する形で運用しています。AIが単独で顧客へ返信することはありません。定型をボットで削ったあとに残る、人の確認が要る問い合わせを引き取る位置づけです。

対応チャネルはメール・問い合わせフォーム・LINE公式アカウント・サイトチャットで、これら以外もご利用中のツールに合わせて個別に接続します。電話対応は、ご要望・要件に応じて個別にご相談ください。

料金は問い合わせ件数・チャネル・対応時間帯に応じて個別にお見積もりします。ゼンナゲCSのサービス内容をご確認のうえ、お問い合わせください。

まとめ

チャットボットが減らせるのは、回答が固定されているか、選択肢で分岐できる問い合わせです。個別の状況に依存する質問はシステム連携が必要で、判断や感情を伴う対応は残ります。日本コンタクトセンター協会の2025年度調査では、チャットボット対応企業は48.5%と半数弱ですが、導入企業での業務量は増えています。

導入を決める前に、直近1か月の問い合わせを内容で分類し、定型が何割かを数えてください。その割合が小さいなら、ボットより先にFAQの拡充と導線改善が効きます(本記事のデータは調査時点: 2026年8月)。